子どもを信じる子育て~心配しすぎると逆効果になる理由~【不登校支援・家庭教育支援の専門家が解説!】

家庭教育の学び

支援をしていると、多くの親御さんがお子さんを心配されているからこそ出てくるような不安をよく耳にします。子どもが成長すると抱えていた不安がいつの間にか解消されているということはありますが、不安が完全になくなるということはなくまた新たな不安が出てくるものですよね。実際、支援をご卒業された親御さん(お子さんが大学生や社会人になった方々)からお話を聴く機会がありますが、その際にも「不安や心配は尽きないもの」とおっしゃいます。私は常々親御さん達からのお話を聴きながら、そして自身で子育てをしながら感じることなのですが、子どもを育てる中で親御さんが子どもを心配するのはごく自然なことだと思います。

しかし、その心配が行き過ぎてしまうと子どもの成長を妨げてしまうことがあるのも事実なのです。

この記事では、親御さんの子どもに対する「心配」と「信頼」のバランスをどう取るべきかについて考えていきたいと思います。お子さんのことが心配で仕方ない、ついつい子どもを見ているとあれこれ言ってしまう・・・そんな親御さん達と一緒に考えるきっかけとなればと思います。


親の心配が子どもに与える影響

過保護・過干渉になりやすい

自分のことはそこまで気にならなくとも、我が子となると変わるものです。不思議ですよね。(笑)子どものことが心配になるがあまり、親御さんの言動が過保護・過干渉になってしまうことはよく見受けられます。これは子どもに「失敗させたくない」という親心から来ていることも多く、先読みできてしまう我々親は先回りしてしまうのです。また、厄介なものでこの先回りをしているという行為自体を親御さんが認識できていないことも少なくありません。過保護・過干渉対応の例としては、子どもの年齢やタイプによっても変わってきますが、子どもが忘れ物をしないように親御さんが準備する・子どもが困る前に親御さんが手を出してしまう・・・などが挙げられるでしょう。

これらのように親御さんが家庭内で日常的に過保護・過干渉対応を繰り返していくと、子どもの問題解決力や事故決定力が育たない傾向が見られます。ここで間違ってはいけないのは、子ども自身にその能力がないわけではないということです。本来、子ども達にも持ち合わせている問題解決力や事故決定力があっても、日常生活の中で親御さんが代わりにやってくれることが殆どであれば使う場面がありません。そうなるとそれらの力が劣ってしまう、苦手意識を持ってしまうという流れは自然ではないでしょうか。特に問題解決力が低い状態のお子さんは、学校生活で起こりうるイレギュラーなことに対してどうしていいのか分からないと感じることが多く、それが恐怖や不安につながりやすいです。また、事故決定力が低い状態のお子さんは、何をするにしても自信が持てず学校のように「自分で決めて自分でやる」という流れに違和感を感じやすい状態が生まれるでしょう。

子どもが「できない」と思い込むようになる

親御さんが次のように子どもに言い続けていると、子どもはどのようになっていくと思いますか?

親御さん
親御さん

あなたには無理だから手伝うね。

こう言われ続けていると、子どもは次第に「自分はできないんだ」と思い込むようになっていくでしょう。そんなセリフ、言うわけないじゃない!と思われる方も多かったかもしれません。しかし、このセリフを直接言葉にしていなくとも子どもに同じように伝えてしまっていることは往々にしてあるのです。

それは、親御さんの先回り対応です。親御さんとしては良かれと思って手伝ってあげていることも、内容や状況によっては子どもに上記と同じようなメッセージを伝えてしまっていることがあります。言葉で直接伝えられるよりも子どもへの伝わり方は穏やかかもしれませんが、近年増えているHSCと呼ばれる周りの状況や雰囲気を敏感に察知するタイプのお子さんには伝わりやすいと考えます。そして、このメッセージを伝え続けられたお子さんは「自分はできないんだ」と思い込んでしまい、自己肯定感が低下し何事に対しても意欲を持ちにくい状態になってしまいます。

親の焦りが子どもに伝わり、不安を増幅させる

私は生まれも育ちも大阪なので、生粋の関西人です。関西人によくみられるせっかちさんでもあります。(笑)だからこそ、ゆっくり動く子ども達の様子を見て「早くしなさい」や「大丈夫なの?」と言ってしまう親御さんのお気持ちはよくわかります。しかし、この言葉は親御さん側の不安や焦りを醸し出しているとも言えます。この状態が続くと子ども側もプレッシャーを感じてしまうようになり、のびのびと家庭内で行動ができないようになってしまうこともあります。親御さんが焦るお気持ちも分かりますが、焦り過ぎてしまうといき過ぎた対応につながることも多いです。あとから冷静になって考えると「あぁ、あれはやり過ぎだったな・・・」などと感じる親御さんが多いのも事実ですから、ご自身が焦り過ぎている場合はまずは子どもに対応するのではなく、冷静さを取り戻すことを優先したいですね。そこからでも遅くないことが多いものです。


親の心配と子どもの自己効力感(Self-Efficacy)

次に、心理学の観点から親御さんの心配と子どもの自己効力感について見ていきましょう。

バンデューラの「自己効力感(Self-Efficacy)」理論

自己効力感(Self-Efficacy)とは、自分がある状況において必要な行動をうまく遂行できると、自分の可能性を認知していることを表します。カナダ人のアルバート・バンデューラという心理学者が提唱しました。バンデューラは、自己効力感が強いほど実際にその行動を遂行できる傾向にあると述べています。つまり、何をするにしても「自分はできる」という感覚が大事だということになります。

親御さんが心配し過ぎて手や口を出し過ぎてしまうと、子どもの自己効力感が育ちにくい状態になります。これに関してもバンデューラは説明しています。自己効力感を強めたり弱めたりすることに影響を及ぼすこととしていくつか挙げています。その中でも、事の原因は何かを示す原因の帰属が関係しています。子どもが自分の成功や失敗を自分の能力の結果と考えるほうが、自己効力感は高く保たれること
が報告されているのです。例えば「自分で宿題を終えられた」「困ったけど友達に助けを求められた」という小さな成功体験が自信につながるのです。

「安全基地」としての親の役割(アタッチメント理論)

アタッチメント理論とは、愛着理論とも言われます。心理学者でもあり精神分析学者でもあるジョン・ボウルビィによって確立されました。ボウルビィは「親(養育者)の世話・養育を求める乳児の行動」を愛着行動と名づけ、「乳幼児と親(養育者)との関係性」をまとめた理論のことをアタッチメント(愛着)理論と呼びました。子どもの愛着行動の発達過程には、4段階あると言われています。そして内面的なアタッチメントが形成・発達するにつれて、愛着行動は徐々に減っていきます。ボウルビィの研究によると、親御さんが安心して見守ることによって子どもは自由に冒険できるということが分かっています。

親御さんが心配し過ぎてしまうとそれは子どもにも伝わります。心配はいずれ不安や恐怖に変わり、子どもが「一人で行動するのは怖い」と感じてしまうようにもなります。


心配しすぎを手放すための具体的な方法

では、具体的に家庭内で実践できる内容をいくつかご紹介したいと思います。すべてを実践しなくちゃ!と思うのではなく、ご自身のご家庭ではどのやり方が取り入れやすいのかイメージしながら読んでいただけると嬉しいです。

「見守ること」=「何もしないこと」ではない

ここはよく親御さんが勘違いされる部分なのですが、私たちは支援の中でも「子どもの様子を見守りましょうか。」とお伝えすることがあります。しかし、私たちが言う「子どもを見守る」という行為は親御さんに何もするなと伝えているわけではありません。意図的に親御さんには手を出さずに見守っていただきたいということなのです。これは放置とは違いますよね。

そう伝えることの理由としてはそれぞれの対応によって異なりますが、考え方の一例としては「忘れ物をして困る経験も子ども達の学びのうち」と伝えることや、「失敗しても大丈夫と伝えてあげてください」などと親御さんにお伝えすることがあります。失敗しちゃダメ!とは思われていない親御さんも、子どもに対して無意識にそう伝えてしまっていることもあります。人間は誰しも失敗する生き物です。失敗を恐れるのではなく、失敗から何を学ぶかを親御さんが一緒に考えてあげられると子ども達にとってもいい学びになると思います。

「親の焦り」をコントロールする

これは非常に大事なポイントになります。

支援の中でも親御さんが焦ってしまい「つい言ってしまいました。」や「〇〇してしまいました。」と報告を受けることがあります。そしてみなさん一様に、その後に「言わない方がいい、やらない方がいいと後になればわかるのですが、その時はどうしても止まりませんでした・・・。」とおっしゃいます。そうですよね。そうなると思います。人間という生き物は感情のコントロールが苦手です。特に感情が高ぶっている時に自身の感情をコントロールすることは非常に困難であり、アンガーマネジメントと呼ばれる感情のコントロール方法が数年前から話題となっています。

感情の度合いはスピードなどはその時々の状況やその人の性格傾向などによって変わってきますが、焦りは徐々に加速していくことが多いと言えるでしょう。焦りを感じた時は一呼吸おいて子どもにもご自身にも考える余裕を持たせることが大事です。親御さんは一呼吸した際に「本当に今すぐ対応しないといけないのか?」などとご自身に問いかけてみるのもいいと思います。そうしておくと、前述した歯止めが利かないという状態も避けられるでしょう。

「できること」に目を向ける

できないことは嫌でも目につきやすいものです。子育てをしていると、他のお子さんと比べたくなくても比べてしまう・・・なんてことも少なくないのではないでしょうか。ただ、我々大人も上司から常にできていないことばかりを指摘されている状態はしんどいですよね。それは子ども達も同じであると言えます。また、子どもの成長は大人に比べると格段に早く、すぐになんでもできるようになってしまうものです。だからこそ、親御さんには子ども達の「できること・できたこと」にしっかり注目してほしいなと思っています。

お子さんの年齢によって声をかける内容は考えたいですが、「前よりも自分で準備できたね」や「昨日よりもスムーズだったね」とポジティブなフィードバックをしてあげると、子どもも「頑張ろう!」となりやすいのではないかと思います。

親が楽しむ姿を見せる

「そんなこと、分かってるわよ。」と言われるかもしれませんが(笑)、案外日々の生活を精一杯過ごされている方ほど忘れてしまっている部分でもあると思っています。とはいえ、親御さんの務めというのは多くお仕事だけではなく家事に子育てに・・・と毎日大変ですよね。なかなか楽しめない!と思われている方もいらっしゃるかもしれません。しかし、親御さんがリラックスして楽しんでいる姿というのは子どもも見ていて安心するものです。家庭の中で子どもが安心できるような環境を作ることは子育てにおいて非常に重要な役割を担います。安心できるような環境が整っていないと、子どもは意欲や主体性を持つことも困難である場合が多いです。子どもの成長を望まれる親御さんは、ご自身が楽しんでいる姿を見せることで子ども達に安心感を与えてあげたいですね。


まとめ

親御さんの子どもに対して抱える心配は自然なことですが、心配し過ぎてしまうと子どもの成長を妨げてしまうことにも繋がり兼ねません。なんでもそうですが、度が過ぎてしまうということはよくないということですね。心配し過ぎてしまわないように、親御さん自身が焦らないための工夫を取り入れることで、適切に子どもの成長をサポートできる環境が作れます。

また、子どもを信じて見守ることで、子どもの事故効力感が育ちます。信じることは放置することではなく、子どもが自立するための最良のサポートであるということを覚えておいていただければと思います。

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